究極のマルチバンドアンテナ
de.JA4FHE
選択
さて昨年4月より定年が間近になり、やっと郷里に帰ることが出来、念願のタワー建設とそれに乗せるアンテナを 色々考えました。
タワーは私が所属するEDXGのメンバーのJA5BGA氏が使っているLUSO−28NSにすんなり決ままり、問題はそれに乗せるアンテナ群です。
私の希望は
@ 基本的にはタワー1本で160から6mまでDXを楽しめるアンテナ群であること
A 75/80mはロータリーDP以上
B 7MHZ以上はビームで人並みの性能がほしい。
75/80mは早々とforce12のEF-180Bに決まりましたが、問題は7mhzから上です。
初めはN社のTA-3040D+TA512GXを考えましたが、30/40が2elでもの足らないし、50mhzを乗せると5mのマストに4本が重なり合います。
そこで以前に当誌に紹介されていたSteppIRを思いだし早速日本代理店であるBEAMQUEST(http://beam-quest.com/)社にメールで色々問い合わせました。するとすでに4elも発売になったとの情報を頂きこれを注文する決心をしました。
しかし 6/20久しぶりにSteppIRのホームページを見ると,MonstIRアンテナの紹介がなされておりました。
スペックは7/10mhzは3el、14/18/21/24/28mhzは4el、50mhzはオプションエレメント追加で6el、しかもブーム長は10.4m!!
但し大きさは10.5m×21mで重量がなんと73kgアンテナのみで US3795$(現在3995$)!!
まだ日本での販売価格は未定との事でした。
しばらく考えましたが、
@ 今回が自分にとってたぶん最後のアンテナ建設であり、今後載せ替えなくて良いアンテナ性能である!
A モノバンドで各アンテナをそろえると今以上に高価且つトップヘビーになり風が怖い!
B トラップタイプは出来ればさけたい(バンド幅が狭い)!
C 2本タワーを建てるのは不可能!
と自問自答し、結局BEAMQUESTの土佐氏にその日のうちに注文のメールを送りました。
それが2004年の6月でした。
その後メールのやりとり十数回、半年以上が経過した今年になってやっと出荷体制になったらしいとの連絡がありましたが、出荷前の改良テストを重ねており試作品のみでアメリカでも1本も出荷されていないとの事でした。
タワー建柱(1/30)後の2/9 土佐氏よりメール連絡あり,
IR社より「モンスターIRの1号機を私に送る(ちなみに昨年の6月での予約は世界で5番目でした)との連絡がありやっと3/20に7個の荷物を受け取りました。
しかしなにせこの大きさ重さ故とても一人では揚げれそうもないため,EDXGのメンバーに協力を仰いだ結果4/29.30にアンテナ工事をする事になりました。
組み立て
あらかじめマストプレートは対マスト用3インチ76mm用に特注(wでは60mm)しておきました(lusoのタワーのため)
このアンテナには60mmでは厳しいと思われますがforce12もそうでしたがwではほとんどが60mmですね!?
何せ最初の製品のためマニュアルは英文のみです。アンテナを成田から直送して頂いたため日本版を作る暇もなかったようで、そのため何度も読み直し組み立てミスのないようにまた各エレメントの組み立ては以前の59誌の3elの記事を参考にしました many tnx
ブームは76mmと太く厚いのでブームステーは不要と思われましたが意外とエレメント(中央から5mまでが特に)が重たい(先の5m部分はまさにcqのスプレーダー程度の軽さ)。
使用パーツはほとんどDIYにあるようなモノで、オーバースペックと思われるパーツ(ワイヤークリップ等)も有り一同呆れたり感心?したりでした。グラスファイバー(この中をバリリウム銅の板1.2cm幅が伸び縮みする)のためエレメント組み立てがまるでCQantのスプレッダー組み立ての錯覚を感じましたが組み立てるとやはりフルサイズの八木です。とにかく大きい!。
私の敷地内ではとてもこのアンテナを全部組み上げるわけにはいかないため、家のそばの橋を利用し、29日に午後よりブーム、各エレメントを組み立て、翌朝に橋の上でアンテナ組み立て完成後クレーン車にてマストまでつり上げ取り付けました。
でも1号機のためかエレメントステー用トラスの穴があわなくて空け変えるところもありました(やはりw製?)
取り付け後各エレメントから出ているモーター駆動用ケーブル処理を注意深く行い、コントローラーに接続しました。
使用感
上げてからまだ1週間と短い間ですが感想はvyFBです。
@7/10mhzの性能はフルサイズより見劣りするもトラップ短縮型よりはかなり良いと感じます。
モノバンドで理想的なスペーシングで調整された3el八木とは違いいかにコンピュターシミュレーションで設計されたとはいえ制約されたエレンメントスペースでの設計ゆえやむを得ないと思います。
でも14mhzから上はワイドスペース八木そのものです。
Aこのアンテナはバンド幅/swrの帯域が狭い!
設計にもよりますがモノバンド八木はトラップタイプより帯域が広いのが普通ですが、このアンテナは狭いです。ですから14mhzでもCW(14.025)からSSB(14.195)へqsyするとコントローラーで動かす必要があります。
私の想像ですが、シミュレートの設定条件で帯域を狭めてでも(周波数が可変出来るため)ゲイン/FB比を優先して設計しているのではないかと思われます。
でもWARCバンドではその心配はありません(バンドの中心から少し下にセットすればOK)
C 28mhzはコンヂションが悪くほとんど聞いていませんが、なぜかこのバンドのみFB比が悪いようです。4elで10.5mのブーム長は長すぎるためか、28.2のビーコンを聞いて確認しましたがやはり10db程度です。
私にとっては「28mhzは命」バンドではないのであまり気にしていませんが!?
D 7mhzは日本でも2009年に7.2MHZ迄バンド幅が拡張されますがこのアンテナでは何の心配もありません。(トラップタイプでは200khzのバンド幅を確保するのは至難の業ではないでしょうか?!)。
7.000から7.300間でSWRは1.2程度(もちろん可変してですが)をキープしています。
ただ今回コントローラー表示周波数と実際のアンテナの共振周波数が何故か異なり表示7.000では300hz低すぎるためコントローラーの表示が7,300で7.000でSWRがベストになりました。これは全バンド同じ傾向(10.110→10.600)でしたのでアンテナ長とコントローラーの表示ミス?と思われます。 これも第1号機とはいえお粗末ですね。(このアンテナの上3.5にに75/80のRD Pがありますがほとんど影響を受けていないはず!?)
Eそのためを考えてかRIGとコントローラーを接続することによりインターフェースによって運用周波数に連動して自動的にアンテナ周波数を制御してくれます。よって非常にQSYにも便利ですし、ログソフトを接続すればパケットでnewの局がでれば即座にリグもアンテナもその周波数に設定され後はコールするだけです。(今回は上記トラブルのため利用していませんが)。
このコントローラーは マイクロプロセッサー内蔵で色々設定出来るようです。
逆に言えばアンテナ自体はメカ以外は単純な製品であり、むしろこのコントローラーをいかに使いこなす(多機能)かが、このアンテナの良さを引き出すポイントと思われます。
アンテナに同封されて来たのは20ページ足らずのアンテナ組み立て用のマニュアルのみであり、コントローラーの設定等のマニュアルはありませんでした。後日
3el用の日本語版マニュアルを送ってもらいましたが、残念ながら完全に網羅しておらず、十分に使いこなせません。
使いこなせるようになれば下記のアンテナ設定も思いのままなのでしょうが!?
wのホームページにも詳細なコントローラー解説マニュアルがなく、ぜひとも日本語版と共に詳細なマニュアルが必要です。
これは特にビームクエスト社にもお願い致します!
F このアンテナは6.9mhzから54mhzまで50khz単位でゼネカバでコンピュターシミュレーションしたエレメント長に3/4エレメントとも変動します。
ですから多エレメントのログペリを揚げるよりは遙かにゲインもFB比も取れます。そのため既にHAMのみでなく大使館等の通信用にも使用されているとの事です。
私の場合も今は取りあえずHAM modeではなくGeneral freqのレンジでQSY&設定して使っています。 また設定シミュレーションが気に入らなければ3/4エレメントの長さもそれぞれ変更出来ますので、たとえば電界強度計で調整してFゲイン主体型とかF/Bパターン重視型のアンテナ等に変更(設定)することも出来ます。
とにかく調整のためにアンテナの上げ下げ等の労力はいっさい不要でシャック内でアンテナ調整が出来るのはすばらしいの一言です。
F瞬時に(約2.5秒)ビームが反転出来(これは本当に便利)SP/LPか即座に確認出来、当然アンテナを回さなくてもコール出来るためローテターにも負荷を掛けなくて済むためアンテナを回す回数が減りそうです。
先日10mhzでZL7/KH0RRが出ておりJAが599を送っていますがこちらではかすかす339で良く聞こえません。ビームは合っています。でもよく見るとコントローラーの180のスイッチが点いておりビームが反転していました。
コントローラーが小さくため(15×8cm)UP/DOWNをしているとき間違って触ったようでした。元に戻すと579で聞え安心してコールしました。
7mhzでも57ぐらいで聞こえているEUを聞きながら180反転させますとすうっと聞こえなくなりノイズレベルすれすれ(33)程度になります。
G 欠点はバンドチェンジに時間がかかる点です。
41cm/Sでエレメントを伸び縮みさせているため
特に7mhzから28mhzへ又逆にqsyするには15秒程度かかります。コンテストで1秒でも無駄にしたくないときには不便です。
QSY時は始めはほとんどシグナルが聞こえずセット周波数になると急激に感度が上がり聞こえてきます。アンテナが同調したことを実感します。
H耐電力は内蔵の22:50Ωのバランが2.5kw連続キーダウンまでOKとの事です。
但しサーボモーターが動作中に送信する事は200W程度でもミスマッチによりラジエター内の接触部分を壊す恐れがありますので厳禁です。私は30w程度のパルスでSWR(共振周波数)を調整しセットました。(Wではモーター動作中の送信を防ぐ(チューニングリレーbyN8LP)キットも売られています。
{それと今回75/80のRDPとIRantの給電部にそれぞれスパーク電子工業(http://www.iris.dti.ne.jp/~spark/index.html)の広帯域シュッペルトップ コモンモードフィルターを挿入しました。
紹介記事通りケーブルからの輻射とローカルノイズをカットしてくれており非常にS/Nが良くなり特に近所のTVバズノイズも感じなくなり且つTVIも出ておりません。大変効果的と思われます。}
この上の{}内長すぎるならカットして下さい。
このアンテナの不安材料は各エレメントのメカ部分が高温多湿の日本で長年異常なく使用できるかと言う点です。
ビームクエスト社とIR社とで対応して頂けるとのことですしIR社も1年間の保証をしていますが、正直不安ではあります。
またIR社のホームページhttp://www.steppir.com/にはこのアンテナの紹介以外にブリテンボードが設置され その中には 一般、Q&A、オーナー、テクニカルフォーラムが各あり世界中のユーザー、又は関心のある局同士が盛んに情報交換をしております。私もログインしましたが602番目のメンバーでした。
なおアンテナの建設記事、写真等はEDXGのホームページhttp://www.dokidoki.ne.jp/home2/ja5bga/にも載せてありますので興味のある方は参考にしてください。
本当はもっと詳細なリポートをすべきですがなにせ1週間の使用感であまり参考にはならなかったと思いますがこのアンテナの概略を感じて頂ければ幸せです。
今後の追加リポートも上記ページに適時搭載致しますし、お空でお声掛け頂いても結構です。
最後にこのアンテナを世界で最初に使用する機会を頂いたW7IR、ビームクエストの土佐氏、及びアンテナ建設のために遠路はるばる来て頂きましたEDXGのメンバー JA5MY、JA5AUC.JA5IGX.JA4JBZ.JH4ADV各氏に心より感謝申し上げます。