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MAHALO(ハワイ滞在記:2)

   

武田文和:JH5PHC

「いやな予感が…?」
と前号で書き終えましたが、出国に手間取ったとか、入国に手間取ったとかではないんです。
「円安」です。

 出国前に、G7に出席した小渕と速水が日銀の協調介入により「円高」を回避し、「円安」に転じるように努力するとほざいたため、ヤバイと思っていたんです。それが、現実となりました。

 関西国際空港で日本円をUSドルに換金するときに、前の週から「円高」が続いていました。これは、今日は大丈夫だろうと両替所について「なんじゃこら!!」。104円前後だったのが手数料を入れて110円。一日でこんなに変動するとは。夫婦そろって「ケチケチ旅行」を誓ったのに、初日から崩れ去りました。TC(トラベラーズ・チェック)に換えておいたほうが無難だといわれていました。円安になるかもしれないと忠告を受けていたのに…。

 それで済めばよいのですが、空港ターミナルで「航空保険に加入するかどうか」で悩み始めました。保険で3万円もかかるの―――?!

墜落したら自分の身はないし、現地で車の運転をすることもないことを考えるといらないんではと揺れ動きました。でも、形だけでも…。

 こんなところで思わぬ出費。なにせ、日本円は「スーツケース」のなかに今回は入れてしまってます。既にチェックイン済みのためどうにもなりません。出国前の日本食は、かつカレー定食を食べた時点で財布の中は「からっぽ」。墜落したら、私たち夫婦の「最後の晩餐」は“カツ”でした。

 でも、飛行機に搭乗してからは、幸運ばかり。「エコノミー・クラス」にもかかわらず、妻曰く、「ビジネス・クラス」並の席だったようです。横3席、4席なのが2席でした。旅行代理店のスッタフに感謝。

 空の旅は約7時間30分。時差は19時間。「オアフ島」の「Honolulu国際空港」に到着。次に目指すは「ハワイ島」。乗り継ぎが必要なため、「Aloha Air」のターミナルに移動して離陸を待つことにしました。滞在先のご夫婦も心配しているのではと思い、連絡すべく「公衆電話」の前に立ちました。使い方は電話の前面に貼ってある取説道理に電話してみました。当たり前ですが、先方は、国内だろうがどこだろうが「英語」ですよね。私は、いまだ海外に着たという意識がないので、「Hello,……,speeking」と返ってきた。おおっと、既にパニックを起こして、「……」。言葉が出てこない。一瞬の戸惑いましたが、英語が聞こえてきたら、自分の口からは英語が発せられていました。恐るべし「アマチュア無線」!!どっぷり漬かっている私は、その後、自己紹介をしていました。先方さんが「あ、はいはい」といわれて、それからは日本語。やはり日本人同士は日本語ですよね(後から聞いたのですが、そのまま英語でしゃべったら面白かったのにと先方の奥さん。やめてよ!!)。これからそちらへいきますよと報告しておきました。

 飛行機を待っている間に、ビジネスマンのおじさんに声をかけられました。「どこへ行くのか?何をしに来たのか?(あたりまえか)」。そこで、「ハワイ島へいって、“すばる”を見に行くんだ」と答えました。おじさんは、「Great!!(やっぱり有名なんかな?)Hawaii島は“Big Island”というんだよ。きれいだから楽しんできてよね。」といわれました。端から見れば「バリバリの観光客」なんでしょうね。おじさんの表情は、日本人は団体で行動する動物と考えてもいるのか、なぜか妙な表情は時折してましたが、終始にこやか。

カタコトの英語をバンバンしゃべる日本人にあって戸惑ったかな?

 45分間のフライトでハワイ島の「HILO(ヒロ)空港」を目指します。機内アナウンスでは、観光案内をしてくれるのは当然ですけど、日本と違うのは、島の歴史から始まって細かな土地の紹介、ありとあらゆることを語ってくれます。話好きなスチワーデスかと思いきや、そうではないようです。歴史から入るところなど、自国、「ハワイ州」を愛している証です。日本では考えられません。だって、「松山城ロープーウェイ」でのアナウンス知ってます。いつも一字一句同じ。少しは、「今日はお天気が良いですから、正岡子規について知りたければ、“子規記念博物館”、“子規堂”や“萬翠壮裏の庵”へいってみてはどうですか?」ぐらい“アドリブ”でいってほしいものです。決り文句「この松山城は、風雲急を告げる慶長7年に加藤嘉明が築城に着手。25年の歳月をかけて完成させました(以下略)。」を一字一句間違わずに喋ってくれます。よく利用する私はほとんど暗記してしまい、ええかげんにせいよとぼやく始末。それを考えればこの45分間は飽きることがありませんでした。天気もよく、“すばる”が建設されている「マウナ・ケア」が雲の上にぽっかりと頭を出していました。海は、空の色に溶けて「真っ青」。感激でした。

写真.1 飛行機から見たマウナ・ケア 頂上に”すばる”がある

 ほどなく到着。空港のロビーで、かわいい娘さんと奥さんに出迎えてもらいました。ご本人が道すがら、「ハワイに来て車の免許を取ったので運転はうまくない」と話してもらいました。試験は筆記試験のみ。巷のスーパーで売っている問題集を丸暗記し、択一問題に合格すれば免許をくれるそうです(どこかのアマチュア無線の試験と同じ)。実技試験は無いので、空港の空き地でご主人同伴で練習したとのこと。「んー、そりゃいい」。下手な私もあちらで受ければよかった。日本で運転したことが無いため、変な先入観が無くて運転が楽だそうです。道はガードレールが無く、路肩も広い。右側通行、右折優先と歩行者優先というルールを守っていれば問題無し。ちなみに、赤信号で歩行者が横断歩道を歩行中の事故は、歩行者の責任。また、事故を起こしても“Sorry”と間違っても口にしないこと。たった一言でも漏らせば、自分の過失を認めたことになり、裁判では100%負け。合理主義の国らしいですね。下手といっても、急ハンドル、急発進、急停止の私よりははるかに上手い。後部座席に乗っていた私は、恥ずかしくなってしまいました。

 道路の両側は火山灰で覆われ、ご主人の職場(研究所)を横目にのんびりとした丘陵地帯を走っていきます。もう少しすれば、あの研究所の中身が見れるんだと思うとワクワクしてきます。住まいは簡素な住宅地の一角にあり、緑にあふれています。「ウサギ小屋」に住む私たちには縁遠い環境です。敷地が広いのはもちろん、ひと部屋が広い。一室は娯楽室で卓球台あり。リビングには暖炉があったりでうらやましく思いました。

写真.2 お世話になった臼田さんとのスナップ 緑がまぶしいですね!!

 「KH6/JH5PHC」で運用したいという気持ちが片隅にあったのですが、すばらしい環境を見せつけられると、邪まな考えは消え去りました。景色を、自分たちの貴重な時間を楽しまなくてはという気持ちで心がいっぱいになりました。どこの誰ですか?KH2とかKH6でペディションに明け暮れていたのは…。

写真.3 玄関先でのスナップ 2階建てまでしか立てられないそうです

 第一日目は、今回の旅行の日程をコーディネートしていただいた「Tours by Charlie」へ行き、旅費の精算。「円安」というのは知っていたので、支払いはカードで行いました。というのも1ヶ月後の引き落としですから、「円高」に転換していたら「大助かり」。頭の中で電卓をたたいていました。担当のAkemiさんは日本語OK。日本人よりも日本人らしい心の持ち主でした。楽しく話をしていたらあっという間に1時間経過。挨拶もほどほどに失礼しました。

 夕食の準備をしなければと娘さんを抱いて急いで「スーパーマーケット」へ。日本でいう感覚とは違います。規模は、松山近郊に在住の方が多いので、「そごう」を平屋建てにして、それが5つ別々のスーパーが集合しているといえばよいでしょうか?

 面白いのは、火曜日の朝刊は奥様必見で、各スーパーの「おすすめ品」とクーポン券が掲載されているんです。品物によっては、お隣さんが安かったり、個々は高くてもクーポン券があれば安上がり。その辺はさすが奥さん、抜け目がない。新聞の切抜きを片手に、チェックしながら次から次へと歩き回る。おかげさまで、「お土産」の品と購入するマーケットが決定(こういう裏があったんです。申し訳ありません)。さてと夕食の材料の購入。いろいろな野菜、果物、肉、魚の説明をしてもらいながら、金魚の糞のように後ろをついていくのみ…。カラフルな色の品が多いのですが、魚の色を見ていると“ちょっと”というものあり。味はいいそうなのですが、やっぱりなじめないなぁ。

 現地の料理で有名な「ポケ」という食材を教えてもらい、今夜の夕食に決定。「マグロのぶつぎりサラダ(??)」とのこと。値段はいくらだったか覚えていませんが、雑魚として扱われています。ちなみに、「マグロ」はハワイ語で「‘ahi(アヒ)」と言います。もちろん肉はでかく、とにかく安い。豊富な食材を目の前にして“驚き”の連続。野菜は、名前が日本と同じものは変わりませんが、南島しかないものが多く、魚同様、色にだまされてはいけません。不気味なものほどおいしいそうです。「納豆」、「豆腐」「こんにゃく」など日本にしかないと思っていたら店頭に並んでいました。原材料は現地のものが多いそうですが。豆腐は“絹ごし”とか“木綿”とかラベルに書いてありますから本格的?ただし、味は確かめていませんから…わかりませんが、日本のものに近いとのこと。最近になって某食品会社名のものが店頭に並ぶようになったそうです。ほかに気づいたのはインスタント食品が多いこと。人種、文化がさまざまな中、東南アジア系の食品が多種多彩。アジアブームもあり、ずらーっと並んでいます。試しに、「エスニック」系からタイのヌードルを買ってみました。味は、妻が旅行したときに同じようなものを屋台(?)で食べたといってましたから本物に近いんでしょう。

この後は、次回のMAHALO(ハワイ滞在記:3)

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